稲荷神社(原稲荷・町屋稲荷)

町屋図書館から町屋駅に向かって歩くと、町屋二丁目ひろば館の横に稲荷神社が鎮座しています。
この稲荷神社は、「原稲荷」「町屋稲荷」などの愛称で親しまれています。
鳥居をくぐると、社殿が見えてきます。

"原稲荷神社社殿"

町屋稲荷は原稲荷とも呼ばれ、五穀豊穣の神である倉稲魂命を祀る。その創祀年代は未詳だが、
徳川家康の江戸入部にともなって三河国の百姓が町屋に移住してきた時にさかのぼる、という伝承がある

(『荒川区史』平成元年版 上巻 p.1530より)

倉稲魂命は殖産の神・商売繁盛の神として広く信仰されています。
町屋地区は南千住の素盞雄神社の氏子区域にあたります。素盞雄神社の天王祭の中で三年に一度の御神幸祭(本祭)の御本社神輿渡御では、この神社に御旅所が設けられます。

社殿の右脇には庚申塔があります。

"阿弥陀三尊来迎図像庚申塔"

社殿右脇の庚申塔は、江戸初期の正保四年(一六四七)に建てられたもの。
全国的にも珍しい阿弥陀三尊の線刻が施されている。

(『荒川区史』平成元年版 上巻 p.1531より)

こちらの庚申塔は区内で二番目に古いものです。中世の板碑に見られる阿弥陀三尊来迎図が、江戸時代の石碑に継承されて線刻で描かれているのは非常にまれな例で、こちらは区の有形民俗文化財となっています。

今回、撮影にお邪魔した際、庚申塔の脇では梅の花がほころんでいました。

所在地
東京都荒川区町屋2丁目8番7号

 

最寄駅
東京メトロ 町屋駅すぐ
都電荒川線 町屋駅前駅徒歩5分

 

【参考文献】

1 『荒川区史』平成元年版 上巻(荒川区 1989年)

2 『町屋の民俗』(荒川区教育委員会 1993年)

3 『荒川区の文化財(四)』(荒川区教育委員会 2010年)