都電沿いにあらかわさんぽ -三ノ輪橋から町屋駅前まで-
東京さくらトラム(都電荒川線)に沿って、荒川区を散歩します。
旅のしおり
三ノ輪橋駅
東京に残る唯一の都電荒川線
はじまりは、三ノ輪橋から
バラのアーチをくぐると、東京さくらトラム(都電荒川線)の起点、三ノ輪橋停留場が目の前に広がります。
都電荒川線は、端から端まで乗っても 1時間ちょっと。
沿線は、急こう配や急カーブが多く、連結運行が難しいため、1両編成で走っていると聞きます。
線路脇には、140種1万3千株のバラが植えられていて、花が咲く5月・11月頃には訪れる人の目を楽しませてくれます。
荒川区南千住1丁目12付近
ジョイフル三の輪商店街(三ノ輪銀座商店街)
近年は映画・ドラマのロケ地としても有名に
都電荒川線に並行して北西に約400メートルにわたるアーケード街が、
ジョイフル三の輪商店街です。
ドラマや映画で「おやっ、レトロで素敵な商店街だな」と思うと、エンドロールで「ジョイフル三の輪商店街協力」と表示されていたり、
おいしい物を売るお店もあったりで、行くたびについつい両手いっぱいに買い物をしてしまいます。
古くは伊勢亀山藩の石川家の屋敷があり、明治期には「新開地道路」が、大正期に王子電気軌道三ノ輪駅(後の都電荒川線三ノ輪橋駅)ができたことで近隣の人口も増え、次第に発展してきました。
ジョイフル三の輪商店街と都電荒川線は切っても切れぬ縁で結ばれているようです。
おなかと心が満ちたら、次は珍しい「耳」の名所へ参りましょう。
荒川区南千住1丁目18番5号
東京さくらトラム(都電荒川線)三ノ輪橋駅徒歩2分
東京メトロ日比谷線三ノ輪駅徒歩6分
袈裟塚耳無不動(けさづかみみなしふどう)
今日も荒川3丁目で
地域の安全を守っています。
東京都立中央図書館所蔵『三河島御不動記』(部分)
線路から少し離れ、明治通りを西へと進みます。荒川区役所の向かい側に見えるのが三峰神社です。
境内の奥へ入っていくと、赤々と燃えるような不動明王の姿が!
近寄って見てみると、左耳が・・・ない!?
耳のない不動明王は、耳の病に御利益があると長い間信じられてきました。
病が治ると穴を開けたお椀を奉納する習俗が今も残る、地域で愛される存在です。
仙光院住職第九世「光慧法師」と、元許嫁の新吉原遊女「紅山」との、波乱に満ちた悲劇的情愛の伝承のなかで、耳無になった経緯や、袈裟塚の由来について触れられています。
不動明王の台座に目を凝らして見て下さい。
「東叡山領参河島村仙光院」の字が刻まれています。
江戸時代、この辺り一帯が東叡山領(上野 寛永寺の所有する領地)であったことを伝える貴重な資料です。
かつては仙光院の門前(荒川2-4付近)にありましたが廃寺となり、明治29年に三峰神社の境内へと移されました。
区指定文化財
荒川区荒川3丁目22番
都電荒川線荒川区役所前停留所から徒歩8分
参拝自由
旧三河島汚水処分場喞筒場(ぽんぷじょう)施設
日本で最初の下水処理場
東京駅や富岡製糸場のおもかげが
明治通りを少し戻って、サンパール通りを北に進みます。
「荒川区役所東」の交差点を右折すると、レンガ敷きの歩道に行き合います。地面に敷かれた「メトロレンガ」のプレート、下水汚泥の焼却灰をリサイクルしたレンガを使用し、まさにSDGs!!
さらに進むと「三河島水再生センター」のレンガ造りの大きな門が見えてきます。
広大な敷地内には大正11年の設立から平成11年まで運転していた「旧三河島汚水処分場喞筒場(ぽんぷじょう)施設」があります。
日本最初の近代下水処理場の遺構としての高い歴史的価値が認められ、平成19年に国の重要文化財(建造物)に指定されています。
建物外壁の美しいレンガは、東京駅でも使われている「品川白煉瓦」です。大正期の建物が、身近に今も存在していることやその素晴らしさに驚かれることでしょう。
予約をすればほぼすべての施設を見学することができます。
必見なのは、かつて下水が流れていた暗渠。ちょっと探検気分を味わいながら、先人の技と知識をご堪能ください。
何気なく使っている水の大切さを、歴史と共に感じることができるスポットです。
秋のキャンドルナイトや桜・さつきの時期には、一般開放も行われているので季節毎に訪れてみるのも良いですね。
荒川区荒川8-25-1
ゆいの森あらかわ
赤ちゃんから高齢者まですべての世代の方が遊び、学び、楽しめる!今までにない施設
三河島水再生センターと線路をはさんで立つ、大きな建物が「ゆいの森あらかわ」です。
ゆいの森あらかわは吉村昭記念文学館、ゆいの森子どもひろば、そして荒川区の中央図書館として3つの機能が「融合」した複合施設です。
本を中心に人や地域が結びつくというコンセプトのもと、多くの方に愛されています。
1階のカフェでくつろぎながら読書をしたり、小さな子どもと遊んだり、体験キットで遊んで学べたりと、長時間楽しめる施設です。
広場やベンチもあり、散歩の休憩にはピッタリです。図書館は約60万冊の蔵書スペースを保有していますので、調べものにもご活用ください。
このページの下にある「07.図書館で本を借りる」にある本を実際に手に取ってみることもできますのでぜひお越しください。
荒川区荒川2丁目50番1号
東京さくらトラム(都電荒川線)荒川二丁目停留場(ゆいの森あらかわ前)徒歩2分
東京メトロ千代田線町屋駅徒歩7分
京成線町屋駅徒歩7分
ゆいの森あらかわ ホームページ
https://www.yuinomori.city.arakawa.tokyo.jp/
泊船軒(はくせんけん)
戦火さえ乗りこえた迫力のご本堂
ゆいの森あらかわを出て、東京さくらトラム(都電荒川線)の線路沿いに町屋駅前に向けて歩きます。その途中に臨済宗妙心寺派のお寺である泊船軒があります。山号は大雄山。
台東区松が谷にある海禅寺の塔頭寺院として建てられましたが、明暦の大火や関東大震災で罹災し現在の地に移転となりました。しかし、戦時中の空襲では幸いにも延焼を免れ、焼け野原の中、遠くからでもすっくと立つ様子が見られたとのことでした。
ご本堂の天井には、小室翠雲(こむろすいうん)の「雲龍図」と、複数の日本画家たちによる「花鳥風月画」が描かれています。また、その周囲の欄間にはまるで飛び出す3Dのような井波彫りの阿羅漢様たちがはめ込まれており、眼前に飛び出してくるような迫力。
「花鳥風月画」の中には猫好き必見の素敵な白猫もいるので、ぜひ探してみてくださいね。
花の後ろに隠れてこちらを見ている様子に自然と目じりが下がってきます。
荒川区荒川7丁目17番2号
東京さくらトラム(都電荒川線)町屋駅前駅徒歩2分
東京メトロ千代田線町屋駅徒歩2分
京成線町屋駅徒歩2分
※ご本堂のへ参拝・見学は要事前相談
図書館で本を借りる
- 『東京さくらトラム(都電荒川線)ものしりBOOK』都営交通
- 『山東京伝全集 第二巻 黄表紙2』山東京伝/1993年
- 『三河島と日本初下水処理施設-「旧三河島汚水処分場喞筒場施設」国重要文化財指定記念-』荒川区立荒川ふるさと文化館/2010年
- 『荒川(旧三河島)の民俗(荒川区民俗調査報告書 6)』荒川区教育委員会/1996年
もっと足をのばして
荒川ふるさと文化館は、古代から現代に至る荒川区の歴史・民俗資料を展示した施設です。
荒川区南千住6-63-1(荒川区立南千住図書館との併設)
03-3807-9234
休館日:月曜(祝日の場合は翌日)、毎月第2木曜(館内整理日)、年末年始
開館時間:午前9時から午後5時まで(展示室への入館は午後4時30分まで)
入館料:100円※
※荒川区民で中学生以下および65歳以上の方、障がい者及びその介助者は、証明書等の提示で免除