PICK UP EXHIBITIONS『私の好きな……』
「うまい物を肴に酒を飲むこと」
旅行鞄にはいつも
行きつけの店を記した住所録が入っていた
企画展「私の好きな……」は、吉村昭氏の酒についてのエピソードからはじまります。
会場に入ってすぐの展示ケースには、ウイスキーとグラスが置かれ、キャプションには「晩酌セット」のタイトル。
作家吉村昭のプライベートを垣間見たような、そんな気持ちをおこさせます。
今回の展示が、今までとはまた違った角度から、吉村昭の素顔を見せてくれるのではないかと、展示室に入った瞬間から期待に胸が膨らみます。
2021年は、吉村昭氏没後15年にあたります。吉村氏の「好き」に焦点をあて、多彩な展示品を公開する『令和3年度企画展 私の好きな……』展が、1月21日から3月21日まで、ゆいの森あらかわで開催されています。
執筆姿勢に迫るコーナーでは、鞄やカメラ、テープレコーダーなどの愛用品と共に、取材メモが展示されています。入念な取材を元に数多くの作品を生み出した吉村氏が残した精緻なメモと積み上げられたノートは、迫力を持って観客の心に迫ります。
そのほか、文学館が所蔵する吉村氏の「角凧」や、随筆に登場する日本全国の“うまい物”が掲載された「味を追う旅マップ」など、足を止めて、じっくりと鑑賞したくなる内容が続きます。
司書おすすめのコーナー
担当編集者が選ぶ「私の好きな吉村作品」
数ある作品の中で、編集者がおすすめする1冊とは何か、知りたくありませんか。
本づくりのプロたちは、どの吉村作品が「好き」なのか。
ぜひ会場で確かめて、そして、ぜひ、図書館でその本を手に取ってみてください。
素敵な出会いが待っています。
展示で紹介されていた1冊
吉村の遺作である『死顔』
病と闘いながら執筆や推敲を重ねた作品
『死顔』(新潮社/2006年11月)
「病と向き合う―最後の一年」コーナーで、直筆原稿が展示されています。
インフォメーション
- 会期
令和4年1月21日(金)~3月21日(月・祝日)
【休館日】2月17日(木)~19日(土・午前中)、25日(金)、26日(土・午前中)、27日(日)、28日(月)、3月17日(木) - 開館時間
9時30分~20時30分 - 会場
ゆいの森あらかわ3階企画展示室 - 観覧料
無料 - 企画展公式サイトURL
https://www.yoshimurabungakukan.city.arakawa.tokyo.jp/webexhibition/myfavorite2022/