おすすめの本

家族の本(6月)

  • 掲載日:2022年6月15日

「家族」をテーマに3冊の本を紹介します。
新型コロナウイルスが猛威を振るい、その流行が思いがけず長く続いたことで、私たちの生活は一変しました。家で過ごす時間が増えたり、帰省ができずに家族と長い期間会えなかったりと、「家族」のことを考える時間が増えているのではないでしょうか。

彼女の家計簿

彼女の家計簿

  • 原田ひ香/著
  • 光文社
  • 2016年7月

わずか300ページ足らずの小説だが、出だしからグッと心をつかまれる内容である。家族のあり方、仕事、恋愛、戦争、そしてミステリーあり。様々なテーマが読み取れるが、家計簿を軸に世代や時代を超えた広がりのある物語になっている。
家計簿を昭和17年から昭和24年まで記帳し続けた加寿。その家計簿を手にした晴美。そして家計簿は里里のもとへ…。三人の女性の視点から過去と現代が並行して描かれている。ここに登場する女性たちは必死に生き、道を切り開いていく。その姿は潔く力強い。一気に読め、元気になれる一冊だ。

ジェンナ-奇跡を生きる少女-

ジェンナ-奇跡を生きる少女-

  • メアリ・E・ピアソン/著 三辺律子/訳
  • 小学館
  • 2012年2月

大地震があり、パンデミックもあった後の未来の物語。ジェンナは1年半前に事故にあい、2週間前に目覚めたと聞いたが、何も覚えていない。家族のことも、自分がジェンナだったということも。事故のせいで一時的な記憶喪失なのだと聞かされるが、体の動かし方も忘れているのか、歩き方もぎこちない。それでも、歴史や文学など、はっきりと記憶している知識もある。眠っている間に、ジェンナに何があったのか。それがわかったとき、自分がジェンナだったら…、ジェンナの家族だったらどうしただろう…と考えてしまう。

ボブという名のストリート・キャット

ボブという名のストリート・キャット

  • ジェームズ・ボーエン/著 服部京子/訳
  • 辰巳出版
  • 2013年12月

ロンドンで麻薬中毒の治療を受けながら、政府が用意したアパートで暮らしていたジェームズは、ある日一匹の茶トラの猫と出会います。猫は、弱々しく、毛もぼさぼさで怪我もしているようでした。ジェームズは、猫にボブという名前を付け、部屋に迎え入れます。エサを与え、病院に連れていき、正式な飼い主になりました。一緒に仕事に行ったり、クリスマスを過ごしたりするうちに、ジェームズとボブの絆は深まり、ジェームズは辛い治療にも励むようになります。すべては、ボブと幸せに暮らすために・・・
ペットだって大切な家族。1匹の猫との出会いが、青年の人生を大きく変えた、本当にあった心温まるストーリーです。