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時間旅行読書 ローマ編(8月)

  • 掲載日:2022年8月15日

ページをひらけばどんな時代へも一瞬でタイムスリップできるのが、読書のいいところ。
さて、8月=August の月名の由来は、初代ローマ皇帝アウグストゥス(オクタウィアヌス)であるとされています。
彼にちなんで、今月はイタリアの古都ローマの2000年を時間旅行してみましょう。

アエネーイス

アエネーイス表紙画像

  • ウェルギリウス/著 杉本正俊/訳
  • 新評論
  • 2013年12月

まずは、紀元直前ごろ、アウグストゥスが活躍した当時に書かれたこちらの叙事詩。
トロイア戦争の生き残りアエネーアースがイタリアに渡り、ローマ人の祖となったとする伝説に材をとった、古代ヨーロッパを代表する文学作品です。
作者ウェルギリウスはアウグストゥスの側近の下に集う文人のひとりで、アウグストゥスもこの作品の完成を楽しみにしていたそう。
題名は知っているけれど読んだことはない、という方が多いのでは? こちらの翻訳書は、日本の一般読者が内容に集中できるよう散文訳が採用され、とても読みやすくなっています。

シェイクスピア全集 25(ちくま文庫 し10-25) ジュリアス・シーザー

ジュリアス・シーザー表紙画像

  • シェイクスピア/著 松岡和子/訳 
  • 筑摩書房
  • 2014年7月

『アエネーイス』からおよそ1600年後。イギリスの劇作家がローマの英雄たちを舞台上に生き生きとよみがえらせました。
ローマ人ブルータスは、親友キャシアスに説得され、敬愛するシーザーの暗殺に加わります。しかし成功したのも束の間、シーザーの部下アントニーの演説により、ブルータスたちは民衆の敵にされてしまい……。
ポピュリズム、扇動、劇場型政治といった用語が頭に浮かぶ、現代に通じる政治劇といえます。一方で、深い絆で結ばれた男たち(もちろん女性が演じることも多々あります)の熱い友情物語という面も見逃せません。

甘くて、苦くて、深い素顔のローマへ 最新版(旅のヒントBOOK)

甘くて、苦くて、深い素顔のローマへ最新版表紙画像

  • 水谷渚子/著
  • イカロス出版
  • 2020年7月

『ジュリアス・シーザー』から約420年、最後は現代のローマへ旅しましょう。
こちらはローマに3年間暮らした著者による街歩きガイド。美しい写真が満載で、見るだけで旅のワクワクを味わえる本です。定番の観光名所も著者の視点を借りると一味違って見えます。また、知る人ぞ知る小さな名店が多数紹介されているのも特徴です。
本書によれば、噴水彫刻など町の至る所に刻まれている「SPQR」という文字は「ローマの元老院と市民」という意味で、アウグストゥスの時代から続くシンボルだそう。ローマは今も歴史とともにある街なのですね。