おすすめの本

コタツで読書(2月)

  • 掲載日:2023年2月15日

立春を過ぎましたが、まだまだコタツがしまえない日が続きます。
今回は、古くから受け継がれる装身具、過ぎ去った時代の建築、遥かな時間をかけてできあがった石の模様、
といった過去に思いをはせる本を紹介します。
暖かなコタツでの読書にどうぞ。
 

奇妙で美しい石の世界

美しい石の世界

  • 山田英春/著
  • 筑摩書房
  • 2017年6月

 縞模様の何となく地味な石、という瑪瑙の印象が、本書を手にして一変しました。
 表紙の右上から、縞瑪瑙、プルームアゲート、オパール、アルノーの緑、孔雀石+アズライト、ドラゴンの卵。外側からではわからない石の中の模様。切断し磨くことで現れた不思議な色と形の断面写真を、瑪瑙コレクターとしても知られるという著者が惜しみなく紹介してくれています。
 本文も、石についての科学的な説明だけでなく、奇妙で美しい石をめぐるさまざまな逸話が興味深いです。
 幼いころ、拾い集めた石。もう失くしてしまったあの緑色の石を割ったならどんな模様がかくれていたのでしょうか…。

アイヌのビーズ-美と祈りの二万年-

アイヌのビーズ

  • 池谷和信/編 
  • 平凡社
  • 2022年3月

  「ビーズ」と聞くと、アクセサリーや刺繍に使われる小さなガラスビーズを思い浮かべる方が多いでしょうか。木の実や貝殻や琥珀など、材質を問わず、装飾を目的として穴をあけて紐を通しモノとモノとをつなぐものは、ビーズと呼ばれています。
  勾玉や管玉など、古代までは活発につくられていたものの、律令時代から江戸時代までの1000年以上のあいだは数珠などの木製の玉を除いてビーズがほとんど見られなくなる本州に対して、旧石器時代以来およそ二万年にわたって、北海道ではビーズ文化が受け継がれてきました。
  豊富な写真資料で美しいアイヌのビーズを楽しみ、考古、歴史、民俗などさまざまな視点からアイヌと世界のビーズ文化をたどり、人類にとってビーズとは、装飾とは何なのだろうという問いへと誘われる「読む博物館」のような1冊です。

 

シャーロック・ホームズの建築

ホームズの建築

  • 北原尚彦/文 村山隆司/絵・図
  • エクスナレッジ
  • 2022年2月

 誰もが知るアーサー・コナン・ドイルの推理小説シャーロック・ホームズ・シリーズ。本書は、その舞台となった事件現場や作中に登場する建物を、ホームズ研究家と一級建築士の二人の専門家が原作から徹底考察し、外観と間取りを細部まで図面を使って詳細に解説しています。 
 バスカヴィル館、ストーク・モーラン屋敷など、有名な17の事件現場の建物をフルカラーで再現されているので、本書の図面を見ながらそれぞれの事件をより深く味わうことができます。19世紀の英国建築や生活についても詳しく紹介されているので、ホームズが活躍したヴィクトリア朝の暮らしも楽しめる1冊です。