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さようなら平成、次の時代へ

  • 掲載日:2018年12月15日

いよいよ平成31年4月をもって『平成』という時代が終わります。
日本人にとって「元号が変わる」=新しい時代の幕開けを意味するのではないでしょうか。30年と4か月という長い歴史を刻んだ『平成』という時代が終わろうとしている今、少し過去を振り返ってみませんか?今回は明治から大正、大正から昭和、そして昭和から平成へと、時代の移り変わりを感じられる本をご紹介します。

山手線誕生-半世紀かけて環状線をつなげた東京の鉄道史-

山手線誕生-半世紀かけて環状線をつなげた東京の鉄道史-

  • 中村建治/著
  • イカロス出版
  • 2005年6月

山手線=「東京・品川・新宿・上野など、東京都心をぐるりと一周する路線」と多くの人が認識していることだろう。しかし、正式には品川~池袋~田端間のみが山手線であり、その他の区間は東北本線と東海道本線がブレンドされた、混合山手線なのである。
なぜこのようなややこしい路線になったのか、という謎をひとつひとつ解明していくと、明治~大正の時代背景と「新しい日本を築きたい」という信念を持った歴史人たちのドラマが浮かび上がってくる。
本書は、二人の歴史人の強い信念が多くの人々の心を動かし、半世紀という年月をかけて山手線が開業するまでの壮大な軌跡が記された一冊である。
鉄道好きもそうでない人も、教科書には載っていない東京の歴史、そこに隠されたドラマを覗いてみてはいかがだろうか。

日本流行歌変遷史-歌謡曲の誕生からJ・ポップの時代へ-

日本流行歌変遷史-歌謡曲の誕生からJ・ポップの時代へ-

  • 菊池清麿/著
  • 論創社
  • 2008年4月

大正時代に誕生した流行歌は、昭和初期の電気吹込み式録音システムを備えた外国レコード産業の参入と、昭和41年のビートルズ来日により大きな転換を遂げた。前者は音の革命をもたらし、後者の8ビートは日本のポップスに多大な影響を与えた。
本書には流行歌が、昭和から平成へどのような変遷を経て今に至ったのかを風俗史、音楽理論史、レコードメディア史など様々な視点から分析し、歌謡曲の誕生からJ・ポップの到来までの歴史過程が記されている。
紹介されている曲が誕生した世代を生きてきた人はその曲に感じていた当時の香り、というか懐かしさを、知らない世代にはその曲の時代背景などが新鮮に感じられるのではないだろうか。また、NHK紅白歌合戦(第1回~第58回)の出場歌手・曲名全記録も収録されており、ついつい自分の生まれた年の記録を見てしまうオススメの1冊だ。

電話ミステリー倶楽部-傑作推理小説集-

電話ミステリー倶楽部-傑作推理小説集-

  • ミステリー文学資料館/編
  • 光文社
  • 2016年5月

昭和から平成という時代の移り変わりと共に進化を遂げたものは数多くあるが、その中でも電話の進化は目覚ましいものがあると言って良いだろう。本書には懐かしの黒電話、プッシュホン、転送電話、携帯電話など様々な電話が謎解きの重要アイテムとして登場し、その電話でなければ成し得なかった殺人トリックに使われている。昨今話題の振り込め詐欺を題材にした作品も収録されており、まえがきにもある通り風俗回顧的にも楽しめる一冊。
来(きた)る平成の次の時代には、どんな新しい電話とそれをトリックとして使ったミステリー作品が登場するのかが楽しみになる、珠玉の“電話”ミステリーアンソロジー。