おすすめの本

あなたの知らない野球の世界

  • 掲載日:2019年10月15日

10月と言えばプロ野球クライマックスシリーズのシーズンですね。と聞いてもピンとこない、野球にあまり関心が無い方、三度の飯より野球が好きな方、どちらの方にもおススメの3冊をご紹介します。指南書でも野球論でもない、一味違う野球本の世界を お楽しみください。

『ブラバン甲子園大研究』

『ブラバン甲子園大研究』

  • 梅津有希子/著
  • 文藝春秋
  • 2018年7月

「うわぁ 今年も関一、トランペット 高音出てるね~」
「ついに高校野球で 星空のディスタンスが演奏されましたっ!!さすが 習志野♪ 美爆音 ♪」
など、そんな声も ちらほら飛び交っていた2019年のブラバン甲子園。
そう、甲子園は野球が大好きな方も 各校の応援を大いに楽しんでいらっしゃるのではないでしょうか。
固有名詞満載に、どっぷりブラバン目線で書かれているこの本。
読んでいて「わかるぅ~」なんて思った方。
あなたも、立派な応援マニアです♪
「あー、わたしの夏は終わったー」って?
そのつぶやき、聞こえてましたよ!

『ノボさん 小説 正岡子規と夏目漱石』

『ノボさん 小説 正岡子規と夏目漱石』

  • 伊集院静/著
  • 講談社
  • 2013年11月

日暮里に縁の深い有名な歌人・正岡子規が野球好きだったことを、あなたはご存知だろうか。野球がアメリカから日本に導入されたばかりで 野球の存在を知る人間は限られていた当時、彼が夢中になったのは 言うまでもなく観戦ではなくプレーする方である。長らく病に苦しみながら 俳句や短歌を創作したことは広く知られているが、「野球(のぼーる)」という雅号を使っていたことがあるほど、病魔に侵される前の子規は野球に魅せられていた。元々運動が得意ではなかったにも関わらず 学業の傍ら野球に夢中になった青年時代、夏目漱石をはじめ多くの友人たちと出会い、交流し、互いに切磋琢磨しながら 後の日本近代文学界に多大な影響を及ぼす文学者へと成長していく様子が いきいきと描かれている。彼がいかに魅力的な人物だったかを知れば知るほど、その早過ぎた死を惜しまずにはいられない。
ちなみに当時の野球事情を詳細に記した『正岡子規と明治のベースボール』(日暮里図書館の俳句コーナーに展示中)という本には、本書の野球に関する描写の間違いを指摘する一文もあり、合わせて読むとさらに楽しめる。こちらもぜひ。

『僕たちのLIFEシフト』

『僕たちのLIFEシフト』

  • 小杉陽太/著
  • 徳間書店
  • 2019年6月

プロ野球選手の引退年齢の平均は29歳という。企業で働く人にとっては、これからが働き盛り、という年齢だ。米国ではオフシーズンに職業訓練を行うなど引退後のサポート体制が整っているそうだが、日本では選手たちが自力で転職活動をしなければならないという厳しい状況が待っている。29歳という年齢で新たな分野に飛び込む選手たちはどのような思いで、どのような道を選ぶのか。
この本で紹介されているのは、自らの意志と力で次のステージでもチャレンジを続けている方たちだ。彼らの選んだ職業は、広告会社の経営、飲食店の経営、IT大企業への転職など多岐に渡る。野球とは無関係のビジネスの世界でも、野球で培ったチームワークや数字を見る力は自然と生かされているようだ。
本書によると 引退後何をしたいかプロ野球選手に尋ねるアンケートでは、今までは野球の指導者が多かったが今では会社員が第1位だそうだ。引退後の活躍も楽しみだ。


日暮里図書館では あらかわゆかりの人として、荒川区出身の野球選手、山﨑康晃選手(横浜DeNAベイスターズのクローザー)をパネルでご紹介しています。
山﨑康晃選手の著作、『約束の力』はこちらから。