おすすめの本

利他(りた)の心~人のために尽くす~(12月)

  • 掲載日:2021年12月15日

今年で1200回忌を迎える天台宗の開祖・最澄は、「己を忘れて他を利するは慈悲の極みなり」といった言葉は残しています。
自分のことを忘れて、人のために尽くす、言うは易しですが、実際に行うのは簡単ではないですよね。
コロナ禍で荒んだ気持ちになりがちな今日、改めて「己を忘れて他を利する」ということを考えてみるのもいかがでしょうか。

影法師

影法師

  • 百田尚樹/著
  • 講談社
  • 2012年6月

江戸時代のとある小藩。頭脳明晰で、剣術に長けた中級武士の磯貝彦四郎と下級武士から筆頭家老にまで上り詰めた名倉彰蔵は、刎頸(ふんけい)の契りを交した竹馬の友。二人の運命を別ったのは、二十年前のある事件。彰蔵は異例の出世を果たす一方、彦四郎は貧困の中で朽ち果てる。その事件に隠された真相は何か。彰蔵はその真相を知り、咆哮を上げる…。
友の志を遂げるために、ここまで自らを犠牲にして影として人に尽くす人生を送る。人はそこまで他人のために尽くすことができるのか。人間の悲哀とともに人としての尊さを感じせずにはいられない1冊。

希望の一滴 中村哲、アフガン最期の言葉

希望の一滴 中村哲、アフガン最期の言葉

  • 中村哲/著
  • 西日本新聞社
  • 2020年12月

建設開始から7年、アフガニスタンに完成した25キロにもおよぶ用水路。住民自らが修理できるように、針金で編んだ籠に石を詰めて堰を作り、柳を両岸に植えた。水路は約1万6千ヘクタールを緑化し、約65万人の自給自足を可能にした。周辺には2万本超のオレンジの木が植えられ、人々は蜂蜜を作り、酪農も再開させた。
2019年、凶弾に倒れた中村哲医師の時事評論・随想と、亡くなる直前の寄稿を再編集した一冊です。戦乱と干ばつと飢餓のただ中に常にあり続けた氏の、近年の足跡と現地の写真が、同じ地球・世界に暮す私達に強く訴えかけます。

シリアで猫を救う

シリアで猫を救う

  • アラー・アルジャリール/著 ダイアナ・ダーク/著 大塚敦子/訳
  • 講談社
  • 2020年10月

2012年に始まったシリアでの内戦。激戦地となった町アレッポで、負傷した人々の救助活動を行っていたアラー・アルジャリールさんは、町の通りに多くの猫がいることに気がつきます。町から避難した人たちがやむを得なく捨てていった猫たちでした。彼は負傷者を救助する傍ら、猫を保護する活動を始めます。日に日に戦闘が激化し、家族も町を離れ、自身の命すら危うい状況の中、彼は、戦いの犠牲者である子どもや猫、その他の動物たちを助け続けます。「アレッポのキャットマン」として、世界中に知られるようになった男性の物語です。