おすすめの本

生き物好き?

  • 掲載日:2021年7月15日

生きものは好きですか?
「好き!」っていう人もいるし、「実はちょっと苦手かも..」と、人それぞれですよね。
今回紹介する本は、生きもの好きな人にも、そうじゃない人にもおすすめです。
「なぜそれ?」、「えっ、そこまで好きなの..」等々、人によって好きの種類が違うことが感じられるかもしれません。
頁を開くと、身近な生きものや見慣れたものが少し違ってみえてくるかもしれませんよ。

江戸の鳥類図譜-大名、学者、本草画家が描いた日本の鳥たち-

江戸の鳥類図譜-大名、学者、本草画家が描いた日本の鳥たち-

  • 細川博昭/著
  • 秀和システム
  • 2020年2月

日常で身近に見られる多種多様な動物といえば、鳥ではないでしょうか。
まずご紹介するのは、大名や学者、本草画家によって描かれた鳥類図譜です。現在の鳥類図鑑の分類に沿って並べ変えられ、現代の解説を加えています。
本草画家とは、「本草学」という自然物に関する学問を学んだ絵師のことで、本書では主に日本の野鳥に焦点を置き、様々な絵師たちの絵で紹介されています。同じ種類の鳥の絵が複数並べられているので、絵師による描き方の違いを見比べることもできます。お気に入りの絵師を見つけるのもいいですね。
江戸の人々が見ていた鳥の姿を見ていると、昔の人たちがそう遠くはなく、近しいような感覚を覚えます。写真の無かった時代に動きの速い鳥をよく観察し、繊細な筆使いで描かれた鳥たちに感心しつつ、鳥の生態を楽しむことができます。

キリン解剖記

キリン解剖記

  • 郡司芽久/著
  • ナツメ社
  • 2019年8月

まずタイトルが印象的な本です。「キリン解剖記」。国内各地の動物園で飼育されていたキリンが死んだ後に著者のもとに運ばれてきます。ある日突然やってくる命を終えたキリン。著者はキリンを「死体」ではなく、全て「遺体」と著し、また生前に呼ばれていたキリン達の名を記します。クリスマスも正月もキリンの訃報があれば全ての予定をキャンセル。キリン最優先の解剖学者が綴る、人との出会い、キリンとの出会い、解剖修行、研究、そして追求した先にある新たな発見。
この本にはキリンの身体のこともですが、好きなものと出会えた幸運、なにかに夢中になれる幸福さが溢れています。若き研究者がキリンと真摯に向き合い、解剖し、ただひたすら面白いと思ったことを研究する日々が書かれています。読むと爽やかな気持ちになる清涼感にあふれた一冊です。

ほぼ命がけサメ図鑑

ほぼ命がけサメ図鑑

  • ほぼ命がけサメ図鑑/著
  • 講談社
  • 2018年5月

サメにどのような印象をお持ちですか?映画の影響もあってか、怖い、人を食べると想像してしまうという声が聞こえてきそうです。サメの魅力を伝える著者は、サメに対する誤解や偏見を解くために、まず第一章でサメ相談室を設け、サメのことを質問形式で解説します。第一章でサメのことを知って、二章、三章でサメに対する熱い気持ちを高めていける図鑑です。カラー写真はありませんが、数多くのサメの種類や生体といった知識も得ることができます。
サメ愛がぎゅとつまったこの本を読み、私たちにとってサメが身近にあることを改めて感じます。刺身やステーキ、練り製品の材料に、また、ひれはフカヒレに、油は健康食品に、皮はわさびおろしや革製品に利用されます。サメを使ったことわざや格言などもあり、古来から身近であったサメに親近感を抱かずにはいられません。地球に誕生したのは、サメは4億年前、人類は7百万年前で、サメは大先輩です。サメとの共存、多様な生物との共存について、サメ愛を深めることで向き合える一冊です。