おすすめの本

乗り物と作り手

  • 掲載日:2019年5月15日

令和元年のゴールデンウィーク、旅行に行かれた方も多いと思います。
自動車、電車に飛行機、旅行の道中どんな「乗り物」に乗りましたか?
それら魅力的な機械たちは必ず誰かによってデザインされて私たちの前に存在します。
今回は現実の車から架空のロボットまで、作り手の顔も想像できる「乗り物」の本を紹介します。

小さな鉄道の小さな旅

小さな鉄道の小さな旅

  • 長屋良行・水崎薫/著
  • ゆいぽおと
  • 2018年7月

小さな鉄道は、乗客に優しく温かいサービスにあふれる素敵な鉄道です。新幹線・通勤電車では味わえない、少し懐かしく心癒される旅が満喫できます。
長良川鉄道を走る観光電車「ながら」。内装に沿線の素材を使ったナガラ500形503号は、数々の名車両を手掛ける水戸岡鋭治氏がデザインしました。「ながら」の旅では四季折々の自然の風景と食を堪能できます。
伊賀鉄道のシンボルは青色の忍者列車。外装の「くノ一」のデザインは、『銀河鉄道999』で有名な松本零士氏が手掛けました。車両壁面には直筆のサインがあり、見られたら「超ラッキー」です。
車体から絶景まで、本書で「小さな鉄道の小さな旅」のいろいろな楽しみ方を発見して下さい。

MAZDA DESIGN

MAZDA DESIGN

  • 日経デザイン・廣川淳哉/編著
  • 日経BP社
  • 2017年11月

この世界に“自動車”が誕生して、250年。報道される自動車関係のニュースは、かつてからは想像もつかないほど多岐にわたるようになりました。ハイブリッドや水素、EVなどの環境性能、あおり運転や危険運転などの事件・事故、自動運転などの技術面、はたまたメーカーの会計不正問題などなど。
つい私たちはそうした自動車の“内側”にばかり目を向けてしまいがちですが、自動車の“外側”にもぜひ目を向けてみましょう。
この本では、日本の誇る自動車メーカー『マツダ』のカッコよさ、美しさが際立つデザインをたくさんの写真とともに紹介しています。
また、車のデザインもさることながら、その“見せ方”へのこだわりも満載。たとえば、車を買おうと考える人がまず目にするカタログやショールーム。それぞれ、背景や当てる照明の色、天井の高さや余白の取り方、車自体の置き方や撮影する角度……挙げるとキリがないほどのこだわりによって、消費者が『MAZDA DESIGN』に魅せられてしまうような仕掛けがなされています。
みなさんもこの本で自動車に恋、してみませんか?

メカニックデザイナーの仕事論

メカニックデザイナーの仕事論

  • 大河原邦男/著
  • 光文社新書 光文社
  • 2015年8月

日本で一番有名な架空の世界の乗り物、それは「機動戦士ガンダム」ではないでしょうか?
本書は「ガンダム」をはじめ、アニメに登場する数多くのロボットをデザインした著者の仕事論です。著者が自身を「仕事に徹する職人」と名乗るのは、アニメ制作会社と玩具メーカー双方の要求に応える形でメカをデザインするからです。
架空の世界に登場するメカでも、デザインには厳しい現実的な制約があります。多くのアニメーターによって負担なく描けるものであること、また、玩具として立体化した際に魅力的であること。メカニックデザイナー・大河原邦男の最大の創造性は、その二つを両立するためにギリギリまで削ぎ落したシンプルな線での造形だと思います。
経験に裏打ちされたものづくりの醍醐味と、魅力的なメカデザインを堪能できる1冊です。