おすすめの本
音楽(4月)
- 掲載日:2023年4月14日
活字と音楽の相性はいい。ピアノコンクールを舞台にした『蜜蜂と遠雷』は2017年度本屋大賞の大賞を受賞し、プロのチェリストを目指す高校生とその仲間たちを描いた『船に乗れ!』も同賞で2010年度の7位に入りました。行間から流れるメロディがきっと想像力を掻き立てるからでしょう。そしてその先に待っているのは新たなリアル音楽との出会い!
北前船が運んだ民謡文化
- 三隅治雄/著
- 第三文明社
- 2021年8月
江戸中期から活躍した北前船は、大阪から山陰、北陸、奥羽、蝦夷地まで航海した。寄港する先々で再び仕入れをし、商売を繰り返すといった新しいビジネスモデルの宝船でもあった。
西廻りの船も立ち寄る新潟港には信濃川が注ぎ、追分の元唄となる馬方の「道中唄」が流れ込んだ。また長崎県の「ハイヤ」節が伝わって民謡となり、伊勢神宮の「御木曳木遣」が伝わりやがて「御前木遣」が生まれた。人が行き交うところ、歌が口ずさまれ文化が宿る。北前船はソフトパワーの伝承船でもあった。
北前船で日本の文化に根付いた、民謡を訪ねてみませんか。
羊と鋼の森
- 宮下奈都/著
- 文藝春秋
- 2018年2月
たまたまの出会いがきっかけだった。
調律の世界に魅せられその世界に飛び込んだ主人公、外村。先のことはわからない。でも「才能があるから生きていくんじゃない。もっと確かなものを探り当てていくんだ。」と信じて、ただひたむきに調律師の道を進んでいく。
こんなにも素直に人生を歩んでいる若者がいるだろうか? 音楽を愛する人々、ピアノの音色、自然が織りなす美しい情景が目の前に見えてくる。
村上ソングズ
- 村上春樹/著
- 中央公論新社
- 2010年11月
音楽に関する著作も数多い村上が、自ら選曲した洋楽ソングの数々をエピソードを交えながら紹介するという趣向。といってもこれでもかとうんちくを傾けるのではなく、一曲一エピソードに収めることで、内容が強く印象に残り余韻も深まるため、それらエピソードに先導されるようにして実際の歌に聞き入ることができます。
紹介されている中に最近の歌はなく、なじみが薄いものばかりかもしれませんが、それによりかえって新鮮に響くのではないでしょうか。