おすすめの本
平成という時代
- 掲載日:2018年11月15日
「平成」という元号にも慣れ、ついこの間始まったかなと思いきや、平成元年に生まれた人も来年はもう30歳。来年には、新しい元号が決まり、新しい時代が始まります。どんな元号に決まっても、初めはなかなか聞きなれない、書き慣れない事でしょう。今月は「平成」という時代を、本と共に振り返ってみたいと思います。
くらべる時代
- おかべたかし/著山出高士/写真
- 東京書籍
- 2017年3月
昭和のオムライスと平成のオムライス、昭和の横断歩道と平成の横断歩道、信号も500円硬貨もカメラも、昭和と平成のものは仕様が変わってきているようです。写真を見るだけでも、「こんなに違う!」と楽しめる一冊ですが、その後の解説を読むと、変わった箇所、変わった経緯も知ることができて、より深く楽しめます。「平成の」とつくものでも、いつも目にしているものが多く出てくるので、「言われてみれば」と思うものが多いのではないでしょうか?昭和生まれとしては、「昭和の」屋上や公園遊具が、懐かしく、危険だからという理由で遊具が撤去される公園が増えたり、屋上にペット屋さんや100円でできるわたあめの機械をおいているスーパーも見かけなくなったぁと寂しく思いました。
「時代は変わったなぁ」としみじみしたい時に読むと、ぴったりとハマります。他にもある「くらべる東西」「くらべる世界」も、写真を見比べて楽しむ、本の新しい楽しみ方のできるシリーズです。
SMAPと平成ニッポン~不安の時代のエンターテインメント~
- 太田省一/著
- 光文社
- 2016年12月
誰からも愛されながら活動を続けた国民的アイドル「SMAP」。グループの解散劇は社会現象にまで発展しました。「いて当たり前」の存在だったSMAPは「昭和」が終わる頃に結成され、「平成」が始まった頃の1991年にデビュー。グループの結成、低迷、不祥事、メンバーの脱退、オリコンチャート1位、各メンバーの活躍、と、ここまで平成という時代を山あり谷ありしながら生き抜いてきたグループはいないのではないでしょうか。25年間、「アイドル」と呼ばれる人達がやってこなかった、お笑いや料理、ニュース、MCといった新しい分野を、彼らは次々と開拓していきました。常に進化し続けたメンバーの活躍は、皆さんの知る所だと思います。
アイドルにハマるのは中高生だけ、と思われていた概念をも覆した「ジャニーズ」の社長「ジャニー喜多川」氏の半生も興味深い。SMAPのファンだった人にも、そうでなかった人にも「YOU!読んじゃいなよ!」とおススメしたい一冊。
昭和の洋食平成のカフェ飯
- 阿古真理/著
- 筑摩書房
- 2017年2月
世の中には食の情報があふれている。この本は、料理を扱ったメディア、ドラマやCM、雑誌やマンガ、テレビ番組から、当時どんな家庭料理が作られていたかが描かれている。なぜ昭和中期には若い世代を中心に洋食が広まり、なぜ平成にはカフェで出すようなカフェ飯が家庭の食卓にも上るようになったのか。なぜ和食は繰り返し再発見されなければならなかったのか。その背景には、長く台所仕事を担ってきた女性の変化がある、という視点も面白い。
食べることは、生きること。きちんと働いて、きちんと食べる。電気や製品の進化で昔に比べたら驚くほど便利になったのに、そんな当たり前のことが難しい。暮らしとは何か、食とは何か。私たちはなぜ人と一緒に作ったり食べたりする事を楽しむのか。暮らしの中心である「食」をテーマにすると、こんなにたくさんのことがわかる事に驚く。
他にも「かもめ食堂」や「マルモのおきて」等、文中にでてくるたくさんのドラマやマンガを懐かしむのも、この本の楽しみ方の一つだと思う。長くなってきた寒い夜は、おうちで読み応えのある一冊をどうぞ。