おすすめの本
東京再発見
- 掲載日:2020年3月15日
いよいよオリンピックが開催されます! 世界中から一流のアスリートとお客さまが来日されます。この機会に、私たちが暮らす東京のことを見つめ直してみませんか? 図書館には東京都全域や荒川区の情報が満載の地域資料が集められています。あなたの知らなかった東京が、きっと見つかりますよ。
非常階段東京 The Origin of Tokyo
- 佐藤信太郎/著
- 青幻舎
- 2019年3月
頁をめくると、煌びやかな夜景・商店街の灯りなど、東京の見慣れた姿が現れる。けれど、その視点は見慣れない高さだ。航空写真でもない、ドローンからの撮影でもない。非常階段という、あまり自分で訪れて見ることがない高さからの景色。そこから写された東京には、人の姿は見当たらないけれど、人々の生活の気配が色濃く漂う。働く人が見えるようなビル群。商店街に延びるアーケードが迷路のよう。知っている地名・馴染みある景色に、何かを探している自分に気づく。撮影された年と場所も記されているので、東京の記録と自分の記憶の接点を探すのもまた面白い。
日頃親しんでいる場所でも、視点が変わると新鮮で知らない姿がある。あなたも東京の新たな一面を探してみてはいかが?
東京いきもの散歩
- 川上洋一/著
- 早川書房
- 2018年6月
最近、足立区の荒川河川敷でイノシシが現れた事が大きな話題になった。
私も15年前に汐入地区のマンション建設中にタヌキが出たのを鮮明に覚えている。
まさか、自然から程遠いこの東京23区で、イノシシやタヌキと遭遇するとは夢にも思わなかった。
しかし、この本と出会いその発想が覆された。何と、あの新宿副都心でタヌキが歩き回っているではないか。他にもめずらしいいきものが、23区に生息しており、この本の著者である新宿生まれの生物研究者、川上洋一氏が色々な視点で案内してくれる。
本書には、都立尾久の原公園や日暮里も紹介されているが、とくに三河島で行われていた鷹狩りは、とても興味深く、江戸時代の浮世絵師、歌川広重の絵と共に楽しめる。
子どもの自由研究だけでなく、生き物や歴史好きの幅広い年代にもおすすめしたい1冊である。
みる・よむ・あるく 東京の歴史(全10巻)
- 池享/櫻井良樹/陣内秀信/西木浩一/吉田伸之/編
- 吉川弘文館
ガイドブックは数あれども『みる・よむ・あるく 東京の歴史』シリーズほど知的かつディープな本はない。まず目を引くのは日本史刊行物の老舗、吉川弘文館ならではの豪華な制作チーム。著名な学者陣編纂のもと、各自治体の郷土資料館や博物館の学芸員が集結して執筆した。
全10巻のシリーズで令和2年1月現在、7巻まで刊行している。1~3巻は先史時代から現代までの東京を描いた「通史編」。歴史が地形や自然的条件を含めて書かれているのがおもしろい。4~10巻「地帯編」は、各自治体の学芸員による簡潔ながら濃厚な文章に圧倒される。古文書や絵図など図版も充実していて中高生でも読みやすい。今年の2月に発売された8巻には荒川区が登場。歴史を「みる」「よむ」したあと、実際に「あるく」ための地図も載っている。過去と現在のつながりを体感できる最高の書。