おすすめの本
あなたにとって本屋って?
- 掲載日:2020年2月15日
本屋とは人にとってどういった存在なのだろうか? 本屋が減ってきているからこそ考える、人によって解釈が分かれる十人十色の魅力。
それを仕事にしている人たちの本屋への思いが詰まっている本を紹介。
街灯りとしての本屋
- 田中圭祐/著 竹田信弥/構成
- 雷鳥社
- 2019年7月
街の本屋が減ってゆく。大型書店、駅中のチェーン書店、図書館、古書店、その上、電子書籍も根付いてきた。本を手に取る機会は減っているのか?増えているのか?
そのような状況の中、新たに本屋を初めた人たち。本に魅せられ、小さくはじめた街の本屋を候補100店舗から厳選した11店舗を本書は紹介している。目新しさだけでなく、本を売るためにマッチしている。本屋+何かのテーマを持っているお店。決して広くない限られた空間に取捨選択された本棚は店主のこだわりが見られ、それは手入れした庭のようなものだといえる。 絵本専門店、見る本と読む本を分けた本棚作り、専門家が選書した名前の木札がささっている本棚、鉄道の待合室を本屋へ。
ネットで特定の商品を検索して探すのも効率的でよいが、数千冊の並べられた本棚を眺めながら本を探すのも一興である。探してみると思わぬ出会いがあるかもしれない。ぜひとも本屋に行って、宝探し気分を味わってみてほしい。
これから本屋を初めたい人へのアドバイスやQ&Aも充実している。
世界の本屋さんめぐり
- ナカムラクニオ/著
- 産業編集センター
- 2019年10月
アジア、ヨーロッパ、アメリカの世界35か国。世界の本屋をフィールドワークしてきた著者が、その土地による読書習慣から本屋や図書館事情を分かりやすく紹介してくれている。文字や言語は違くとも、扱う媒体となる本という共通項は同じであることを実感させられる。
目を引いたのは、フランスのオンライン書店から国内店を守るための取り組みだ。その文化度の高さに感心させられる。パリのリヨン駅にはショート・エディションという短編小説の自動販売機が置いてあり、無料で提供されている。物語は1分、3分、5分の3種類、作品数は1200万点にものぼるそうだ。
本書は全カラーページになっており、写真を使わず、著者自身のイラストで紹介されているのも特徴といえる。印象が古くならないようにするためだそうだ。それがかえって読者の想像を掻き立てる。本と世界の広さが垣間見え楽しめる一冊。
これからの本屋読本
- 内沼晋太郎/著
- NHK出版
- 2018年5月
あなたはどんな時に本屋にいくだろうか?
本屋に行くという解釈がここ数十年で変化してきた。「必要だから」探しに行く場所から、「好きだから」行く場所へと変わってきた。
インターネットが出る以前は物語も知識も情報も、日常の生活のあらゆる疑問や問題を調べる手段として身近にあったものが本だった。本を手にするためには、本屋や図書館に行く必要があった。今ではいつでも好きな時に、情報にアクセスができて調べることができる。注文して本を自宅に直接届けてもらうことも容易になり、わざわざ時間をかけて足を運ぶ必要がなくなった。
そんな中、本が好きでなんとか本の仕事で食べていけないかと模索し続けてきた著者が、15年間にわたって実行してきたこと。毎日イベントを行い、お店で使用している家具も購入でき、ビールが飲める本屋。文庫本をクラフト紙に包み、表面には宛先とメッセージが書き込め、切手を貼ればポストに投函できる文庫本葉書。本と人との出会いをつくる仕掛けのアイディアはワクワクするものばかりである。本と本屋を愛する人たちに是非おすすめしたい一冊。