おすすめの本

デザインする視点

  • 掲載日:2020年1月15日

本、インテリア、お洋服……などなど、何でも洗練されたデザインのものを目にすると、明るい気分になったり心が安らいだりするものです。そんな素敵なデザインをつくる人たちは、一体どんなことを考えているのでしょうか。
今回は「デザインする視点」をテーマに2冊の本をご紹介します。

美しい欧文フォントの教科書

美しい欧文フォントの教科書

  • デザインミュージアム/編  和田京子/訳
  • エクスナレッジ
  • 2013年4月

私たちは文字を読むとき、「書体の声」を聞いているのかもしれません。全く同じ単語でも表現する書体によって印象ががらりと変わるように、書体にはそれぞれの語り口があるのです。
この「教科書」は情報伝達の表現としての欧文書体の歴史的成立やその性質を、多くのカラー実例と美しいレイアウトで紹介しています。技術の発展、判読性、時代を象徴する精神など、書体のデザインには必ず背景が存在しています。その一つ一つを知ることで、書体がいかに多くの情報を含んでいるか、また表現を豊かにしているかということが感じられます。後半部にはイギリスの有名なデザインスタジオ「バーンブルック」のデザイナーへのインタビューが収録されており、書体を作る際に考えることや、どの文字から作り始めるかといった実際的なことまで数多くの興味深い情報が得られます。
この本を読み終えると、町で、家で、職場や学校で日々目にする様々な書体が気になってくるはず。奥深い書体の世界を覗いてみる本として、おすすめの一冊です。

デザインのめざめ

デザインのめざめ

  • 原研哉/著
  • 河出書房新社
  • 2014年1月

マカロニにはなぜ穴があるのか、考えたことはありますか?
理由は3つあるそうです。1、ゆでやすくするため。2、表面積を増やしてソースをたくさん付着させるため。3、◎形の穴から原料を押し出すだけでできる、作りやすい形であるため。あのシンプルな形のマカロニは、実は「慎重なデザインの成果」だったのです。
グラフィックデザイナーの著者によって語られる生活の中の「デザイン」の話は、面白くて素敵なものばかり。ビアグラスの目盛と日本の溢れ酒を比較したり、トイレの便器に描かれたハエについて考察したり、美術館と並ぶような文化施設として公衆浴場を想像してみたり……
著者独特の「デザイン」的視点から日常世界を覗いてみると、何か新しい発見があるかもしれません。