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冒険の記録をその目に焼き付けろ!!

  • 掲載日:2019年8月15日

今年の夏も、去年に負けず劣らずの暑さ!!頭がボーっとし、行動力も低下しがちな厳しさが続いています。
こんな時は、目標を実現するため、リスクを顧みず突っ走った若者の挑戦の記録を覗いて、活力チャージをしてみませんか?
どちらもスラスラと読み進めるので、脱力して楽しむことができます。
そして、暑さがおさまってきたら、何かにトライしてみてはいかがでしょうか。

怪魚大全

怪魚大全

  • 小塚拓矢/著
  • 扶桑社
  • 2017年7月

「ヌードリング」という釣法をご存じだろうか。自らの腕をエサにして、水面や穴場をまさぐり、ナマズを喰わせて引き上げるという、とても荒々しいものである。アメリカでは、古くからトーナメントが行われ、大いに盛り上がるという。挑戦者たちも、プロレスラーのような丸太腕をして猛者ばかり。
狙うナマズは、日本に生息しているそれとは規格が違っている。鋭い歯を持ち、20kgを超えるサイズのヤツらが、腕をめがけて喰らいついてくる!屈強な挑戦者たちを上回るパワーでボートからずり落とし、溺死させるモンスターナマズもいるようである。しかも、喰らいついてくるのはヤツらだけでなく、怪獣のような顎で大木をも噛み砕いてしまうというような亀も潜んでいる。あまりにも危険なため、アメリカでも合法で行える州は限られているという。見事に釣り上げた彼らの腕が、鮮血に染まる、スケールの違いすぎるダイナミックな釣法である。この、命削りのフィッシングに挑む若き日本人の運命や如何に!?
3m150kg超の、日本人にもよく知られている、龍魚ピラルクーをはじめ、魚+チェーンソーかと思わせるノコギリエイ、恐竜のような牙を持つムベンガなど、著者が世界中を釣り回った記録が、フルカラーで鮮明に紹介されている。一度でいいから、モンスターフィッシュとの本気の勝負をしてみたいと思わせてくれる一冊。否、ここまでぶっ飛んだヤツらでは、返り討ちにあいそうだ。もっとライトでソフトな対戦相手でいいかな。

青春をママチャリに乗せて-ハンディキャップの自転車日本一周記-

青春をママチャリに乗せて-ハンディキャップの自転車日本一周記-

  • 下司啓太/著
  • 書肆侃侃房
  • 2018年6月

生まれつきハンディキャップを負った青年。そこからくる劣等感に嫌気がさし「自分を変えたい」との思いから、自転車での日本一周を決意する。旅の相棒は、お手軽に買えるようなごく一般的なママチャリ。その自転車に、身近で手に入れられそうなアイテムを駆使して挑戦する。
ツーリング仕様のロードバイクのようなスタイリッシュさはなく、はっきりいって不格好。長い登り坂では押し歩きを余儀なくされ、悪条件下の野宿でまともに眠ることができない日々もあるなか、懸命に目標を達成しようとする姿に、彼を応援するような気持ちでページをめくる自分がいた。おそらく、ママチャリで挑戦しているということや、ストレートな気持ちをシンプルに表現している文体が、身近さや深い感情移入を与えてくれているのではないかと思う。
旅先で出会う人々の好意が随所にあらわれるが、多少図々しいくらいに、他人を頼ることも大事なのかも知れないと感じさせてくれた。そして、その感謝の気持ちを、自分なりの恩返し方法で返していけば、人生うまく回っていけるような気がしてきた。
酷暑続きで、身体の調子が今一つの時でも、お気軽に読破できる一冊である。ちなみに、北海道の自転車旅は、多くの自転車旅人を魅了しているようで、著者も絶賛していた。一度はめぐってみたいものである。